ayasui 切絵展 「氷裏」 取材レポート

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第4話 秘密基地

◎ayasuiとT氏の冒険

冒頭に掲げたのは、氷裏の開催地ハーフムーンホールへ向かうための地図である。
この地図を受け取った際、ワタシは奇妙な高揚感を覚えた。
幼少の頃、宝探しごっこで作成した海賊の地図をみつけたような感覚だった。

早速、この地図を持って現地へ向かい雰囲気を取材しようと考えたのだが、残念ながらワタシとayasuiのスケジュールがあわず。苦肉の策として制作担当者(以後 T氏とする)とayasuiの随行による、動画取材を試みることにした。

よって今回はT氏撮影の動画をレポートする形式でお届けする。

◎11月某日 下北沢駅 北口より

寒さはまだ緩く、歩くのには適した気候の日であった。ayasuiとT氏は「下北沢駅 北口」を出た。
駅を背に左側に位置する「無印良品」を正面に右折した二人は直進をはじめる。

POINT:1 北口を出て左。無印良品を右である

駅前の賑わいの中を進む、ayasuiとT氏。駅から数分で、
右手にみえてきた「スターバックスカフェ」を通過。

POINT:2 駅から歩いて右手に『スタバ』

さらに直進し緩やかな傾斜をくだると、みえてくる右手の「ローソン」。順調な旅路である。

POINT:3 交差点、右手前方に『ローソン』

二人は会場へ向かい歩を進める。
ワタシは動画と地図を見比べながら、地図を指でなぞりつつ動画の中で仮想取材を進める。

ここで、正直な話を申し上げよう。
ワタシはこの時点まで、ある心配をしていた。この平穏な動画をもとにいかにして退屈のない案内文を書けばよいのだろうかと。

しかし、その心配は杞憂にかわる。
発端は、T氏だ。

◎11月某日 至 ハーフムーンホール・・・

ローソンを超え、次の目的地は2ブロック先にある、パーキングである。ここまでくれば、後は右折して直進。

POINT:4 パーキングがある。ここは曲がるのだが・・・。

はじめての買い物を撮影したドキュメント番組でいえば、 もうすぐ我が家へ到着する安堵して観ていられる場面だった。
T氏は迷いなく「あ、こっちですね」とつぶやき、角を右折した。

ここで、ワタシは違和感を覚える。
ayasuiが明らかに動揺した声を発したからだ。
右折した道を進む、T氏。
ワタシは画面を戻し、左右を確認する。
違和感の正体を発見した。
T氏はパーキングを過ぎる前に右折していたのだ。

ワタシは動揺し「T!」と叫び即座に彼の携帯を鳴らした。

「 T ! 」

7回のコール、後、留守番電話のアナウンス。
即、リダイヤルするも、無情な留守番電話のアナウンス。
動画の中では、Tが公園をみつけた声がした。
「あれ?いい感じの公園ですね」と制作担当者Tの声。さらに、
「そういえば、パーキングありましたっけ?」と続けるT。
困惑するayasuiの声。
ワタシは画面へ向かい「戻ってパーキングを撮ってくれ」と無駄な祈りを捧げた。
しかし、Tはその後迷うことなく、歩み続ける。
ワタシは画面を巻き戻し何度も映像の中を行き来した。
何度みてもTは道を間違えている。

そこへ、まるで見計らったかのようにTからの電話連絡。
ワタシはきわめて冷静に応答することにした。

ー地図のルートからずれた場所を歩いているようだが?ー

ワタシの問いかけに、彼は悪びれもなく応える。
「ちょっと、戻るのもアレだったんで、そのままいっちゃいました」
そして、まるで獲物をしとめたことを誇る猫のように堂々と、気高くいいはなった。

「でも動画はよくとれてましたよね?」

確かにTは公園を左折したことで、奇跡的に目的地には到着していた。
ワタシは決めた。

皆様には別のルートを紹介しようと。

◎別ルート版 至 ハーフムーンホール

ここからは、Tが編み出した、別ルートにそって会場へご案内する。
Tの選んだ道は、本来の曲がるべきである手前の道。つまり、ローソンを超えてすぐの角を右折した。その道を直進すると左前方へ「一本松公園」が現れる。

POINT:5 手前に1本曲がり角があるが混同しないよう注意

公園の入り口風景である。この風景を目印にしていただきたい

公園入り口の十字路を左折。住宅街を直進するとやがて、十字路に行き当たる。この十字路を右折すれば、地図のルートへ戻ることになる。

映像をみて今度こそ本当に安堵した。地図と見比べる。あとは直進するだけである。 やがてハーフムーンホール手前にたつ「野屋敷稲荷台明神」がみえた。

POINT:6 十字路を右折し、次の角まで直進

左手に鳥居が見える。これが最寄りの目印である

こうして、ayasuiとTはハーフムーンホールへと辿り着く。
ワタシは、動画の再生をとめ、今一度地図を眺める。

最初にこの地図を見た際の高揚感と、幼いころに描いた、
秘密基地の地図の記憶を密かに重ね合わせた。

自分だけの目印を書き込んだ宝の地図を思い出した

皆様も会場に至るまでに、
この感覚を体感いただけるのではないだろうか。

スタジオ内部の様子は、次週レポートへ譲ることとする。

次回 1月15日掲載 第5話 階段を昇る へつづく



(文 河内製作所:佐藤 大陸)

※蛇足※
前回「にごり水展レポート」は
こちらからご確認いただけます。
「にごり水展レポート」
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「氷裏」会場のご案内

下北沢ハーフムーンホール 〒155-0031
東京都世田谷区北沢4-10-4
TEL:03-6423-1126
URL:http://www.halfmoonhall.com/